「介護現場」の教育のお話


※注【本記事は2022年6月5日に「note」に書いた記事の転載になります】

内容的には前回の「施設介護における「生産性」って上げられるの?」づづきになります。

機材揃えるより人を育てた方が早いかも知れない

前回のお話の最後に「新人が辞めない様にしてしっかりと教育していく方が早道なんじゃないかな」と書いた「仕事を教える話」。
特に介護業界だけに留まらず全ての業界で、特に規模の小さい所では中々頭の痛い話ではないかなと思うのですが、やっぱり大事な所かなと。年明けにnoteを始めるきっかけとなった「人員配置基準1/4」の話にも繋がるのですが、正直な話を言うと「現場にいる人員の多数が百戦錬磨のベテラン」ならその配置基準で回せるとは思う訳ですよ(と言うか回してた時期が有った)。
ただ、現実はベテランも新人もいて、どっちかと言えば新人の方が多いかも…と言うパターンが多々見られるかと思います。この場合、所謂「OJT」を行いながら業務も遂行する訳ですが、これでは中々人手が足りない。尚且つ離職率を鑑みると年がら年中「OJT」に明け暮れる事に…。これでは教える立場側も疲れちゃいますよね。
なので重要なのは「此処で仕事を続けた方がメリットがある」と思って頂いて「離職率を下げ」、「確りと一人前になって頂く」事なんじゃないかなと思うのですよね。「それが一番難しいわ!!」って言われたら其れまでなんですが。
先ず「やりがい」って言葉を削除して、給与面を如何にかしてって…中々難しいな、これ。せめて「やりがい搾取」と「無償ボランティア」は絶対にしない体制は取るべきかなとは思います。更には「居心地のいい」企業風土を作れるかどうか。
後は人員の「即戦力化を望まない」って所なのかなと。

即戦力なんて中々いないと思え?

特に介護業界は離職も多ければシーズンを問わない就職も多く、「即戦力」を求めて求人を出しては「戦力にならず、本人が居づらくなって離職」と言うケースも結構見てきました。でも、経験が有っても人間相手で施設も違えば仕事のやり方もタイムスケジュールも微妙に違う。其処で「即戦力」になれるような人間がそもそも場末の介護業界に来ると思います?
…と、言う視点に立って対応した方が気分的にも楽です。この視点で考えると割とハードルが下がります。
当然上達スピードで許容できる個人差と言うのも有るのですが、例えば「未経験者が3ヶ月で戦力になる」とかは思っちゃダメな話ですよね、と。高卒未経験者なら年単位で考えた方がいいかも知れない。でも、辞めずに長く仕事してくれればこっちをしては有り難いので、時間をかける意味もあるかなと。後で楽が出来ます(笑)。
一番いいのはしっかり定期的に職員を採用して教育過程サイクルを確立して置く、事なんでしょうけど、人手が足りない所ほど場当たり採用するのなと。

OFF-JTの活用は…

ただ、事業所規模が小さく事業所内だけではどうにもなら無い場合の手段で考えられるのが「OFF-JT」、外部の研修を使っての教育と言う手段なのですが、経験上コレは期待薄かとは思います。少なくとも1週間位缶詰にされるような「ユニットリーダー研修」やその類似の研修レベルなら有る程度、身には着くとは思いますが、実技研修を数日受けて身に付くかと言われると、まぁ、間違いなく着かないですよね、ええ。現場で1ヵ月仕事した方が間違いなく着きます。よく有る、新人向け研修なんかも「行かないよりはマシ」程度かなと。やっぱり目の前に対象者がいる状態と教育現場の状態では全然違うので、こればかりは…。
もし介護技術等のOFF-JTをやろうとするなら、寧ろ「期間限定でその手の先生役を雇って対象者がいる状態で教える」方が確実かなと。

なので、本当に介護業界に関わらず基本的な話なのですが、人員を雇用して育てる場合は「計画的に雇用して」「教育計画(過程・カリキュラム)を確りたてて」「即戦力としての期待を持たず」「しっかりと時間をかけて」「途中で止めない様に」育てましょう、と。当たり前過ぎるんだけど、出来てる会社で働いた事があまり無いんですよね…(ブラック染まり過ぎかも)
経験の中で一番出来てたのは、ブラックなチェーン飲食店でしたが、それでも「即戦力としての期待を持たず」「しっかりと時間をかけて」「途中で止めない様に」は全く考えなかった感じでした。
ブラックとは言え全国展開のチェーン店なら其れなりにカリキュラムが有って当然と言えば当然なんでしょうけどね(汗)

投稿者: ikariya

明日、いかりや。 93~03年まで成人向け漫画雑誌「漫画ホットミルク」「漫画ばんがいち」「コミックメガキューブ」の読者コーナーに投稿していた元・ハガキ投稿者。漫画ホットミルク読者集会「愛宴」の幹事も長らく務めておりました…...まだ「おります」かもしれません。同人活動も碇屋工房にて97年~現在まで続いております。好きなものに関してはこちら参照で。